「外注して困ったこと。変化点の検出が出来なかった…」

jiko_chousakan『外注先で困ったこと』シリーズの前回の記事で不具合発生に関する記事をまとめましたが、今回はそこからもう少し掘り下げたテーマにしてみました。不具合時の対応としてその原因調査のアプローチの一つに、不具合が発生したロットの製造工程で何か変化点や異常が発生していなかったかの確認を行なうのは一般的な進め方と思われます。ところが外注工程に対してこれをしようとすると、まず「変化点や異常はありませんでした」との回答しか返ってきません。みなさまに似たようなご経験はないでしょうか。

money_hosyousyoなぜこのようなことが起きるのでしょうか。工業生産的にモノつくりする上での製品の品質は、本来ISOの認証を取得しているレベルの企業であれば、プロセス管理の手法として日々の製造工程における製造条件や設備状態への管理と、それによって得られた結果に工程能力調査で解析を行い、Cpk1.33以上の実力が確認されていることを裏付けとして保証しているものです。しかし職人肌の気質が強い『できばえ管理』を品質管理の主軸としているレベルの企業では、製造工程を管理する必要性があまり認識されておらず、品質保証エビデンスの必要性に対しても、最悪「エビデンスの提出が要求されたら、その時に改めてつくればいいじゃないか。だって普段から問題なんてないのだから」くらいに考えていることも往々にしてありえるのです。daiku_kanna_man製造工程上のどのような要因が品質に影響を及ぼすのかは理解していても、それらを管理しようという認識は薄く、下手をすると「異常」と「不良」の区別がついていない場合も考えられます。このような価値観を原因として監視・監督・検出されることのない、されても記録することのない変化点や異常の発生は霧の彼方に消えていくことになるのです。結果として変化点や異常の発生の確認は立ち行かなくなると考えます。

しかしながら不具合が発生したときに「なぜ保証されているはずの製造条件を経てでき上った製品から不具合が出るのか」と言及される我々は、それをこのまま良しとするわけにはいきません。そこで都度品質管理上のコミュニケーション時(不具合発生時や工程確認の際)にエビデンスの提出を求めるなどして、外注先へ品質保証の基礎を指導しましょう。
siren_keihou_ijou_kenchi_manまず通常の「管理された状態の、あるべき製造工程」と、そうでない「変化のあった製造工程」や「製造工程上の異常な状態・事象」を明確にするため、起こりうる変化や異常にどのようなものがあるのかを定義、文書化させます。その上で不具合発生時などの機会に変化点や異常の発生の有無について聴取を取るのです。原因調査を言い訳として品質に影響を及ぼしうる要素を具体的に列記し、kouji_maintenance変化点や異常の確認する際には「4Mにおける変化点や異常を伺いたい」などという大枠で要求をするのでなく、具体的にどの工程のどういう条件、設備に対するどういう項目、どのような要素の何を確認したいかを明記したリストを提示するなどして、それらに過去異常や変化点がなかったかをエビデンスを持って回答してほしいと要求します。ここまで詰めれば外注先も「そういう要求がされるから備えておかねば…」との認識が徐々に芽生えてくるでしょう。

職人肌の気質が強い企業では、「でき上った製品が合格なら、その製造工程をこまごま管理する必要がどこにあるのか。不要な管理はコストの増加にしかならない」との考え方が支配的です。むしろ製造条件に管理値を設けたりすることに対して「作業上、融通する余地がなくなってかえって品質が落ちる」と強い抵抗感を示すことさえあります。エビデンスの必要性が軽視されるのも、「生産が続けられていること自体が問題ないことの証拠なのに、それをわざわざ記録する手間をかけねばならないのはなぜか」との考えがまず前提にあるからです。job_kenpin_manそもそもこのような暴論が繰り出されるのは、発注元が十分な対価を与えていないことにも原因があるといえるでしょう。外注先の企業たちが考えるように、まぎれもなく管理にはコストが伴います。ギリギリの利益率で仕事を請け負う彼らには余計な管理までする余裕がないのです。money_tokeru_yenしかしながら当然「じゃあ適当に作っていいよ」ともすることはできません。私見ながら、最近自動車メーカーやそのtier1から変化点や異常に対する管理の重要性について問われることが増えてきたように感じます。利害関係上のバランスについて折り合いの付け所を考慮することもまた品質管理を進める上で重要なことなのかもしれません。

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