効果的な入浴で、さらにリラックス

●入浴による3つの物理作用
温かいお湯に入った時にリラックスした気分になれるのは、入浴することにより3つの物理作用が働くためです。

①温熱作用及び自律神経調節作用・・・入る温度によって、作用が変わってきます。
・高温浴(42~44℃) の場合→交感神経の緊張を促し、新陳代謝を高め眠気を一掃して心身ともに活動的にします。
・微温浴(35~38℃) の場合→毛細血管への刺激が少なく、筋肉を弛緩させます。
また副交感神経が働いて精神的にも安らぎ、落ち着いた気分になれます。

②水圧作用・・・水中では、体が小さくなります。腹部に受ける圧力で肺の容量が減少するため呼吸数が増え、一方静脈の血液やリンパ液がいっせいに心臓に戻されてくるので、心臓の働きが活発になり全身の血行が良くなります。

③浮力作用・・・水中では空気中に比べて約1/9程度の重さになります。身体が軽くなるので、だるさを感じなくなり心身共にリラックスできます。

この3つの物理作用を上手に利用すれば、いままでよりさらに効果的な入浴タイムになるかもしれませんよ。

●目的別の効果的な入浴法
ひと口にお風呂といっても、温度や時間、湯の量によって効果が変わってきます。

【ストレスを解消したい時】
入浴法:40℃以下のお湯に、ゆっくりと長くつかるとよい。
また、42~43℃の湯にさっと短時間入って、身体をゴシゴシ洗う。
(血圧や心臓に心配のない人に限る。)
効 能:ぬるい湯は副交感神経優位で、心身を鎮静させる作用がある。
ヒステリーもこれで解消。熱い湯は身体の中の血液がかき回されて、頭と神経のイライラをさっぱりとさせる。
【安眠したい時】
入浴法:36~38℃のぬるめの湯にゆっくり入るとよい。
効 能:身体の緊張が取れて、本来の疲れがどっと表に出てくる。
【これからひと仕事したい時】
入浴法:42~43℃の熱いお湯に短時間。長湯は厳禁。
効 能:交感神経を刺激して、心身の緊張を高める。朝風呂の効用もこれ。
【足のむくみ・足の疲れを取りたい時】
入浴法:40℃前後のややぬるめで、たっぷり入れた湯に、深く、長く入る。
効 能:水圧の原理を生かす。深くつかるほど圧力は高くなる。
(おなかにも圧力がかかるので、妊娠中は避ける。)
【筋肉の疲れを取りたい時】
入浴法:42~43℃の熱めの湯に入る。血圧や心臓に自信のある人は、一度出て水をかけ、再び入るのもよい。
効 能:血行をよくして、疲労物質を早く取り除く効果がある。
【肌を美しくしたい時】
入浴法:一番風呂は避け、39~41℃あたりの、ややぬるめの湯の方がよい。あまり長時間入って肌をふやけさせないこと。
効 能:熱い湯に入ると皮膚を乾燥させ、肌の老化を早めやすい。あまり石鹸でゴシゴシこすらないこと。入浴後は、栄養クリームの補充を十分に。

 

●入浴剤で、さらに入浴効果を高める
入浴剤の成分には、お肌に不快さを与える硬水成分を軟水化する作用があるほか、タイプによっても様々な効果があります。

「無機塩類型入浴剤」
4塩類が皮膚の表面の蛋白質と結合して膜を形成し、この膜が身体の熱の放散を防ぐために、入浴後の保温効果が高く 湯冷めしにくいという効果があります。
「炭酸ガス系入浴剤」
湯に溶けた炭酸ガスが皮膚から吸収されて直接血管の筋肉へ働きかけ、血管を拡げ、血流量が増えます。その結果全 身の新陳代謝が促進され、疲れや痛み等が回復すると同時に、血液が体表面の熱を全身へと運び、身体の芯まで温まることになります。
なお皮下内に入った炭酸ガスは、肺から呼吸によって体外へ排出されるので、身体の中に蓄積はしません。
「薬用植物系入浴剤」
効果は生薬の種類によって異なりますが、生薬に含まれている化学成分の働きと、独特な香りの働きから成り立っています。生薬の効果は入浴剤に応用した場合にも血行促進効果や湯冷め防止効果等が認められており、そのメカニズムについて最近盛んに研究がなされています。
「酵素系入浴剤」
酵素は蛋白質や脂肪、澱粉等を分解して消化や洗浄を助ける効果をもっているため、皮膚に無理な刺激を与えずに清浄にし、他の成分と一緒に入浴効果を高めます。その結果、入浴後は清潔で滑らかな使用感をもたらします。
「清涼系入浴剤」
“l-メントール” を配合して冷感を付与させたものや、 炭酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウムカリウムを配合し  入浴後の肌をサッパリさせたものがあります。
「スキンケア系入浴剤」
入浴で膨潤したお肌は浸透し易い状態になっているため、保湿成分が肌の表面に吸着するだけではなく、角層内部に  まで浸透していきます。その結果、入浴後はお肌がしっとりスベスベになります。