最先端技術紹介-続・3Dプリンター

最先端の技術にも短所があります。その理解が重要です。

年明け早々東京ビックサイトで開催された最新技術関連の展示会。みなさまの企業での活用状況はいかがでしょうか。みなさまにも過去の記事で3Dプリンターに関する情報をご提供いたしましたが、今回もまた最新技術に関するお話です。ただ今回はより自社技術との差別化、あるいは活用方法の検討がしやすくなるよう、少しテイストを変えてお送りします。

3Dプリンターの強みを強調して描いた過去の記事に対して、今回の記事は公開情報では得にくい、最先端技術の運用上の課題やデメリット部分を紹介していこうと考えています。先端技術を導入されている企業への聴取をもとにまとめた今回の記事が少しでも皆様のお役にたてれば幸いです。

CADデータから立体を現像することを可能にした3Dプリンターは3d_printerその登場当初より現在に至るまで未だ『最先端技術』の象徴的な扱いを受けております。樹脂の造形がメインだった装置も様々なマテリアル(造形原料素材)を扱えるものや大型のものが登場し出したことにより、調理、建築、金属冶金の分野にも進出するようになってきました。
しかしながらこの装置の運用上の課題は少なくありません。まず造形物の原材料となるマテリアルが極めて高価。お話を伺った企業様が利用されていたワックスタイプなら、インクジェットプリンターのように噴霧、積層することで立体を造形するタイプの3Dプリンターでは500gに満たないような材料が数万円もするとのこと。bug_character_katatsumuriまた、一度に50μ単位でしか積層できず、精度によっては逐次で造形が進む装置の特性上、1㎝積層するのにおよそ10時間はかかるそうです。仮に造形の途中で装置に故障やトラブルが起きると造形は最初からやり直しに…。

kaisya_komaru_man普及が進んでいる樹脂での造形を行うタイプのものも、立体造形物の使用用途がまだ限定されています。設計変更や確認がすぐにできため、試作にはとても向いていますが、試作以外には不向き、といった欠点もあるのです。それを考えた上で、導入するかどうか考える必要があります。さらに言えば、最近は国内の代理店が増えていますが、プリンターが海外製だった場合、もしかしたらサポートが受けづらい可能性があります。その場合相手担当者とのやり取りも英語になりますし、修理にも非常に時間がかかります。

kangaeruhito最先端技術の強みを強調して危機感を煽った前回の記事に対して、欠点のお話をしたのは、結局最先端技術でも、他の技術と同様一長一短の特徴があるだけで、それをより正確に理解し、適切に付き合うことができた企業だけが市場競争を勝ち残っていけるからと考えればこそのこと。当然その先進性や優位性がなくなったわけではないですし、否定している意図もありません。道具をどのように使うか。それはその新旧に関わらず人の知恵によるところであります。続々現れる最先端技術。みなさまは上手く使いこなせますでしょうか。