書籍紹介『小さな会社・ひとり広報』
昨今、アメリカの関税問題などの状況の変化によって採算の取れなくなった案件が海外調達から国内製造へちらほら回帰していますが、こうした好機を掴めるのはちゃんと営業・広報の努力している企業だけでしょう。みなさまはいかがでしょうか。今回は中小企業における広報活動についての一冊をご紹介いたします。
中小企業における広報活動といっても、「何をしたらいいか」のところからわからない方も少なくないでしょう。今回紹介する『「この一冊ですべてわかる「すごいPR戦略術」(トマト先生のPR塾)」』は、広報未経験者や一人で広報業務を担当する中小企業の担当者に向けて、広告費をかけずに効果的なPR戦略を構築し、年間売上1億円の達成と自動集客システムの実現を目指すための実践的なノウハウを提供する書籍です。
本書の中でも書かれておりますが、そもそも広報とは企業と社会を繋ぐ取り組み。広報には「組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団)との望ましい関係を創り出すための考え方および行動」も含まれます。広く報じるだけでなく、企業の活動や商材の認知度アップの目的もあります。そして本書ではビジネスに最も影響を与える「商品広報」と「企業広報」の二つに焦点を当て、成功事例に基づいたシンプルなフレームワークを用いて、具体的なPR戦略の作り方をステップバイステップで解説しています。広報の立ち上げに不安を感じている方や、成果の出し方に自信がない方でも、本書を読むことで道筋が見えてくるでしょう。
特に第五章と第六章では商品広報と企業広報についてマーケティング的手法に基づいて、それぞれの広報活動の目的や手法、成功のためのポイントが程よい密度と範囲で解説されており、実践に役立つ知識を得ることができるでしょう。 例えば商品広報について書ではその役割を「リード顧客の獲得」と定義し、広報活動によって自社を、あるいは自社の商品を知った人が購入に到達するまでのプロセスを漏斗状の図で説明することで読者がマーケティング上の効果を理解できる表現をしています。「BIG&WHYの思考」と表現された広報に必要なマーケティング的思考が分かり易く描かれているのです。
著者のトマト先生は、PRプランナーとして豊富な経験を持ち、多くの企業の広報活動を支援してきた実績があります。本書では、その経験に基づいて、すぐに実践できる広報テクニックや考え方が満載なのです。 この一冊を読むことで、広報の知識がない方でも、自社の状況に合わせて効果的なPR戦略を立て、実行し、成果を出すための具体的な方法を学ぶことができるはず。広告予算が限られている小さな会社や、広報担当者が一人しかいない企業にとって、非常に心強い味方となるでしょう。
これだけITが普及した現代にあってもまともな自社のホームページが改善しきれていない企業が未だざらにあります。「チャンスの女神には前髪しかない」とはよく言ったもので、その後姿を眺めるだけに終わらないために、訪れたチャンスを無駄にしてはいけないでしょう。