顧客カルテで進める人材育成

営業力は企業の業績に直結する最重要要素。Face to faceを担うことのできる人材の育成は人材育成の最大の課題ともいえます。御社ではどのようにされているでしょうか。様々な手法がありますが、今回この記事を通じてみなさまにご提案するのは「顧客カルテ」の運用をそのまま新人・若手営業担当の育成ツールとしても使うというもの。もし御社で顧客管理か人材育成のいずれかに課題をお抱えであれば、ご参考になれば幸いです。

さて、これまで営業担当者が臨機応変な話術や対応力を習得するには仕事を通して得られる蓄積や、上司の指導によって身につけられていくものでした。ですが新人はすぐには出来ません。そこで営業担当者が業務の一部として作成している顧客カルテ、営業報告書のフォームを見直し、話すべきこと、聞くべきことをしなければ欄を埋められない作りにすることで営業の質の均質化を狙うというのはいかがでしょうか。話すべき情報として営業のFABを話したかどうかのチェックボックス、聞き出すべき情報として営業先の業況、取引先情報、課題やニーズ。必要な記録として窓口担当の人となりやアプローチを仕掛けた時の感触、もらった宿題などを予め顧客カルテの記入欄に設けておくことで営業した人間のスキルを問わず、必要最低限の営業トークをさせるツールとします。また一度にすべての欄を埋めさせるのでなく、何度も営業することでようやく埋まるような作りにすれば、自然と訪問の回数の増加を促せるという仕掛けです。

ただ、 フォームの作成と運用の前に十分イメージしていただきたいのは、自分の前に現れた営業担当者がクリップボードに挟んだ記入用紙に目を落としながら医者の問診のように質問を繰り返す姿。営業担当としては印象は良くないかと思います。適切な運用の一例としては①初期段階では指導担当がお手本として見込み客との営業トークをして見せ、かばん持ちさせている後輩、新人にフォームの記入をさせる。②次の段階として後輩、新人に営業トークをさせ、指導担当がフォームの記入をし、それに基づき不足や改善点の指導を行なう③新人に営業トークを させ、新人にフォームの記入をさせる。指導担当は記入内容に基づき、課題を与える。かなり粗めの導入でもこんな流れになるかと存じます。

顧客カルテで記録される情報は客先の担当引き継ぎのためのツールとしても非常に有用なのです。もし顧客情報の記録がなければ上手く引き継げません。上手くすれば新人・若手営業担当の育成とともに顧客管理も捗る可能性があるのです。