数字を使って考えさせる営業プロセス

「先輩…。新規案件が全然取れないんですがどうしたらいいでしょう」

「なるほど。それじゃいつも一日どう業務時間を仕事しているかを聞かせてくれないか」

よくある新人営業の相談ですが、御社ではいかがでしょうか。今回の記事は確立や割合を背景にして新人に営業活動を考えさせる手法のご提案です。営業を仕掛けるターゲット層に対してどのようなアプローチをすべきかを説得するネタとして少しでも参考にしていただければ幸いです。

さて、こうして新人の一日の業務内容を聴取してみると彼がデスクワークばかりに時間を多く割き、テレアポや訪問についてもリストからさらに新人個人の判断で対象を絞って活動しているのが明らかになりました。
「なるほど。それだと当たり前に厳しいな。『ドレイクの方程式』って知ってるか」

「『知的生命体が宇宙にどれくらいいるか』を計算したやつですか。ざっくりは…」

「そう。これに俺たちの営業活動を代入すると『成約できる案件が市場にどれくらいあるか』になるわけだ。似たような試みで有名なところだとピーター・バッカス博士による論文『なぜ私には彼女がいないのか?』(この論文が発表されてから10年以上経過していますが、考察したサイトが多くあります)が有名だけど、君がリスト上の営業対象をさらに絞っちゃうのは計算式上の途中の割合をさらに厳しくしているのと同じなわけ。イギリスの全人口を母数にしても理想の女性が存在しうる確率は母数に対して存在しうる割合を積み重ねると0.0000034%になるのな。この式を実際の営業活動を考えてみるとどうなる」

「マネージャーが用意してくれるリストはある程度期待できる対象がすでに絞り込まれている前提として、営業目標を達成するためには自社の商材や提案に魅力を感じてくれる企業の割合を増やすか、成約する確率の部分を増やすかってことですか。営業手腕に懸かっているって言っても…」

「その前に君はリストを信じてまず母数をフルに活用すること。なんなら自主的に母数を拡大したっていい。君の言う通り、営業トークで拡大する余地のある部分に力をいれるという考え方も正解の一つだけど、それで今のところ上手くいってなかったんだから」

「そうですね… 確かにここはダメかも、と思って勝手に母数を減らしてましたね。思い込まずに試行回数を増やしてみます。じゃあ今日も営業行ってきます」