営業課長に聞いた!最近の営業活動から見る国内自動車業界関連商社との今の関係

昨今変化の大きい社会情勢とそれに影響されて一層難しくなる操業。様々な業界の様々な企業で最前線を戦う方々に、現状とこれから何をするのかを問い、記事にする新シリーズ。今回はその初回です。このシリーズを通してみなさまにインタビューを通して得られた情報を提供していきます。

さて、今回取材したのはさる中堅素形材メーカーの営業課長です。この方に現在の国内自動車業界関連商社との今の関係や取引状況、これからの展望を伺いました。取材した営業課長の企業は自社でもいくつかの営業拠点を各地に持つものの、やはり商社の持つ複数の拠点とそこに所属する多くの優秀な営業担当、そしてその数だけ築かれた知見と客先との関係性は自社の力だけでは完結することはできないと言います。また商流上のバッファ機能など中小企業にとって重要な存在であることは今も変わりないとのこと。全数保証が前提の自動車業界において商社が一旦在庫を抱え、メーカーへの部品供給を切らさぬ体制を作ってくれるおかげで納期と工期の調整ができ、不具合が見つかっても即時メーカーの製造ライン停止⇒損失の賠償という最悪の事態への保険が効いていると話されていました。

一方で商社も売り易いものを売る訳で、いただく見積もり依頼も必ず苦しい部分のあるものばかり。すでに海外企業との取引が盛んなだけに海外との価格差が埋められない国内企業にはかなり厳しい品質面・管理面の要求をしてくるようになったそうです。関係性もシステムを介した証拠ありきのものとなり、かつての信頼関係は融通の利かないただの取引関係にまで冷たいものになってしまい、関係性構築の意義を見失いそうになる営業担当も出ているとこぼされていました。

しかしこの先の取引関係に失望しているわけではないと言います。「海外企業との取引は確かに安い。だが国内企業と同じように取引できるわけではない。そしてそれは商社だけでなくメーカーもこれまでの海外企業との取引経験で散々手痛い経験をして思い知っている」というのです。商社の要望や情報を鵜吞みにせず、海外企業との取引におけるデメリットやリスクを調べ、自社との取引の価値を示す攻めの交渉とそれに相応しい自社の価値を磨く努力が必要なのだろうと語る課長は、笑顔ながら拳に力がこもっていました。