加工実績集 No.1

ハラサワ加工実績集

これまでご縁あってありがたくも弊社とお取引き下さった新たなお客様方。そうした方たちからは様々なご注文をいただいておりますが、中には残念ながらご期待に沿えなかった案件もいくつかございます。私くしどももお客様のご要望になんとしてもお応えしようと尽力してはおりますが、技術の面でも設備の面でも未だ至らぬ点は少なくありません。

もちろん不足は汲々補っていく所存ですが、先にこの記事で弊社のできること・できないことについて過去にいただいた案件をもとにご紹介することで弊社に対する理解を深めていただき、期待をよせてくださるみなさまを失望させぬようできればと考えております。

併せてお客様から見て加工できそうなのに無理なもの、無理そうに見えて加工できるものもご紹介していく予定でおりますが、本稿をお読みくださったみなさまがより弊社を便利に使っていただけるようになれば幸いです。

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【事例A】
材質:SUS304
寸法:φ200×板厚1.0t×全長350mm
仕様:ストレートパイプ
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【概要】
事例Aはお客様から照明用のシェードとしてご使用されるストレートパイプ(化粧管)のご注文です。「シェードは照明具の命であり、見栄えが非常に重要。この点よくよく注意してほしい」とのご依頼をうけておりましたが、ここで問題が生じました。
まず板巻きパイプは製造工程の特性から通常2~3㎜の未溶接部が残ります。お客様にとってこの未溶接部は見栄えを悪くするものであったため、未溶接部なしの仕上がりをご希望でした。未溶接部を失くすためには、弊社で「タブ」と呼んでいる溶接シロを板材に設け、溶接加工後にシロを切り落として「未溶接部なし」の仕上がりにしております

このタブ出し加工の方法は2つ。1つはレーザーによる切り出し。もう1つはタレパンやプレス金型での切り出しです。レーザーカットでタブを切り出す方法のメリットは、材料サイズにほとんど制限されず加工が可能なこと、切断面が綺麗に仕上がることです。しかしコストは高めになってしまいます。タレパンやプレス金型でタブを切り出す方法のメリットは、手早く加工でき比較的コストが安価で済ませられる点にあります。しかし加工範囲が限定的で切断面にバリや金型の形状が転写された、凸凹状の痕が多少出てしまいます。

そもそもこの「未溶接部なし」の仕様は強度向上のために行っているもの。後工程でパイプにフレアや絞りがされることを前提として必要とされる追加加工です。
ご注文の品は見た目の綺麗さが高く求められる化粧管。当然、お客様の求める品質をクリアするには切断面に凸凹状の痕が出るのはNG。となると、レーザーカットによる切り出しという選択となりますが、それでは今度はコストが上がってしまいます。上記のご説明をすると、お客様からは品質とコストの上手い落とし所はないかとご相談を受けました。

事例に取り上げさせていただいた案件では、最終的にタレパンでタブ出し加工し、切断面の凸凹は研磨処理で平坦に仕上げてお作りしました。研磨処理の分のコストが追加となってしまいますが、それでもレーザー加工よりは価格を抑えられ、お客様の求めるコストと品質の最もマッチした方法となったのです。

「未溶接部なし」の仕様は強度向上のために行っているもの。後工程でパイプにフレアや絞りがされることを前提として必要とされる追加加工です。タブ出しにより「未溶接部なし」の加工も可能ですが、それには製品サイズによって加工法の選択肢に制約が伴うこと、仕上がりとコストに変化が生じることにはご注意下さい。
今回はこれまでもご質問やご要望が最も多かった「未溶接部なしの仕上がり」と「タブ」について取り上げさせていただきました。

その他にも気になる点等ございましたら、どうぞお気軽にテーマをリクエストください。これから加工をご依頼されるお客様に、本稿が参考となれば幸いです。今後ともお客様のご希望に沿ったご提案、製品の提供が出来るよう努めさせていただきます。

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~To be continued~