含まれてはいけない金属がある? 製品含有化学物質の管理とは?

「REACH」「RoHS」「SOC」。みなさまの中にこれらが何であるのかをご存知の方はいらっしゃいますでしょうか。kenkyu_manハラサワでも過去の記事でRoHS指令について取り上げていましたが、カドミウム含有対策の一つであるカドミレス真鍮について述べたこの記事ではどちらかというと環境負荷物質に関連する顧客からの要求に応える企業側の苦労にフォーカスしていました。最近ますます厳しくなる昨今の製品含有化学物質の管理・規制の動向を注視するなかで、今一度このテーマを取り上げる必要性を感じ、今回記事にしました。前後2編の構成でもう少し詳しくこの「製品含有化学物質管理」についてみなさまにご紹介いたします。

eco_carまず日本国内での「製品含有化学物質管理」にまつわる経緯についてかつて事件がありました。EUで廃棄自動車が環境に与える負荷を低減するためにELV規制が出された翌年、日本でもグリーン調達共通化協議会(JGPSSI)が発足。それまで企業毎にバラバラだった調査対象の化学物質の統一を進められ、まさにこれから体制が整えられようとしている時に起こりました。2001年10月。クリスマス商戦に向けて輸出されていたソニーのゲーム機(PS one)のコードから規制値を超えるカドミウムが検出され、オランダ税関で差し止めを受けたのです。結果、その年のソニーの連結売上高に約130億円の影響を及ぼすこととなったこの事件は大きく注目されました。以降、ソニーは「グリーン調達制度」を整備。製品含有化学物質の含有量データや不使用証明書を提出することを取り交わし、omocha_gameソニーからの監査を受けて「グリーンパートナー」として認可された企業からしか調達は行わない(製品は買わない、受け取らない)という、かなり強硬な方針を展開したのです。

このような事件を背景としてより一層展開と強化を進められることになった「製品含有化学物質管理」について、自動車業界では現在IMDSシステムやJAPIAシートによる回答でサプライヤーから供給される材料、部品、組立品の含有化学物質管理を行なっています。qa_clipborad_anke-to_manさて、下請け企業が努力しているにもかかわらず推し進められるコストダウン要求の一方で年々増えていく管理要求。化学物質に対する管理もそうした増え行く管理項目の一つです。この矛盾を解決する方法を考えた時、現実的にはどうされるものなのでしょうか。

PS one差し止めの事件でもソニーは製品の含有化学物質について自主調査を行っていましたが、サプライヤーからの調査回答ではカドミウムの含有は「ゼロ」との回答だったのです。次回は現在されている含有化学物質調査の隙と問題点についてお話していきます。