褒めて伸ばす人材育成

人材育成といえば叱咤激励がメインでしたが、近年では「褒めて育てる」という環境で育った若者が増えたため、育成も一筋縄ではいかなくなってきたように感じます。育成の一環として、部下が失敗した際にあなたはどのような言葉をかけていますか?

社員 部下が不良製品を大量
発生させてしまった。
普段あなたはどのような
対応をしていますか?
何をしてるんだ!と怒鳴り、こんな
簡単なことも出来なくてどうする、と
責め立てる。
なぜ問題が発生したのか原因を聞き、
失敗を認める。その上で、次は出来る
と鼓舞する。
問題発生
週明けまでに会議の資料
作成を頼んだが、期日に
なっても部下からの報告
がない。
普段あなたはどのような
対応をしていますか?
もうお前には頼まない!と言い捨て、
保険として作成していた自身の資料
を使用。
報告や相談を早めにするよう注意。
現在の進捗具合を確認し、それに
応じてアドバイス。

 

部下が失敗したときや間違いをおこしたとき、それらを正すために多くの人は怒る、または叱るのではないでしょうか。しかし人を成長させるためには、叱らずに褒めることがより効果的です。理想の育成は、褒めることが8割に対して、叱ることは2割といわれています。身近な例として、陸上の金メダリストである高橋尚子選手が挙げられます。高橋選手を育てた小出監督がしたことは、ただひとつ。どんなにタイムが遅くても、「いいねぇ」と褒め続けることです。叱ることはほとんどなかったようです。この例からも分かるように、人は褒められると期待に応えようという向上心が生まれます。逆に人は、叱られると人格否定されていると感じて萎縮するか、反発するかになってしまいます。「何故出来ないんだ!」と批判するより、失敗を認めた上で次は絶対に出来ると褒めて立てることが大切です。そうすることで部下は仕事へのモチベーションも上がり、あなたの想像を遥かに超えた働き振りを披露してくれることでしょう。

今話題のゆとり世代。これまで厳しい指導の下、最前線で戦ってきたビジネスマンたちから見ればとんだ腑抜けに映ることでしょう。しかしながら「近ごろの若いものは」と昔から言われるように、世代が代われば価値観も変わります。私たちはその変化に合わせて、指導の手法を改めていく必要があるということなのでしょう。まずは腹を立てず、効果のほどをお試しあれ。