新たな時代の到来? 作業レンタルスペースとは

ドットメイクアキバの見学へ
最近、ドットメイクアキバという「スゴい」施設がオープンしたのをご存知でしょうか。この施設は、切削、レーザーカット、研磨といった加工はもちろん、各種測定、CADによる設計、回路設計が行なえるだけではなく、金属・樹脂など材種を問わずにスペースを時間で貸し出す施設なのです。
現状は何か作りたいものがあっても、自分で作れる環境がなければ他社へ依頼することが多いと思いますが、この施設があれば機械を持っていなくとも製作および測定検査を行なえるため、出荷納入まで可能となります。まさに新時代の幕開けを予感させる施設です。
しかし、これを聞いて中小企業への仕事が減るのではないか?と心配する人もいると思います。今回の記事はそのことも含めて、書いていきたいと思います。

驚きの内部
寒さが厳しくなる中、秋葉原にあるドットメイクアキバにお邪魔させていただきました。施設自体はビルの中の10階にありました。中に入るとレンガの壁と塗装の禿げた金属のドアがあり、「手作り感」を意識させる造りになっていました。
最初に通された部屋では加工機械や測定機械が所せましと並べられ、稼働を待っていました。その機械は型落ちしている旧番などではなく、各会場で開催されている機械の展示会に出展されるほどの新型機械を導入しているのです。さらに、別の部屋ではできた製品の塗装ができ、樹脂モデルの撮影を行なう場所も用意されていました。これだけあれば、どんな製品でも作ることができそうです。まさに至れり尽くせりでした。

仕事への架け橋は、壊されるか、作られるか
ここまで読んで「確かにスゴそうだ。しかし、何かを作りたい人がみんなこの施設を利用したら、商売あがったりじゃないか…」と、心配をされる方も中にはいると思います。確かにその可能性は否定できません。実際、利用される人はハードウェアベンチャーの人が多く、自身で製作する傾向にあります。
しかし、この施設はあくまで「設計ができ、実際に図面を作れる人」向けのため、イメージだけ持っていても「製作の相談」まではできません。もちろん、機械の使い方や「具体的にこの図面の、この場所をこういう風に作りたい」といった踏み込んだ内容の相談はいつでも受け付けているようです。
今後、中小企業の対策として、「こういったものがつくりたい」というイメージを持っている人に対し、「普段から顧客に対して、きめ細やかに対応して、リピートしてくれる顧客を得る」、もしくは「場合によっては施設を利用して、自社でできない依頼にも対応する」ということが挙げられます。今から対策をしておくことに越したことはないでしょう。いずれにせよ、現段階では「今すぐ商売あがったり」ということはないと思います。ただし、将来的には郊外へ別の拠点を作るという計画もあるため、脅威になり得る可能性はぬぐえません。

企業によって戦略の違いはありますので、今後施設を利用するかしないかは自由です。私自身、思ってもみなかった施設の出現でどうすべきか考えている最中ですが、新たな時代は間違いなく、到来しているようです。