メタルレポート vol.3

株式会社ハラサワの得意技、「金属を丸めて、板にする」こと。
しかし、一口に金属といっても特性や価格は本当に様々で、使用する用途により最適な材質はそれぞれ異なります。
ここでは弊社で特によく使う金属をご紹介していきます。第三回目はチタンです。

高性能ながら普及しないチタン
チタンは加工する際、溶接時に酸化しやすいため、手間が掛かるというデメリットがあります。その反面、耐熱、耐腐食、軽量といった有能な特性を持つ高級素材として、特別の製品に使われ、高い付加価値を付けられるというメリットを持ち合わせています。しかし、チタンは高い性能を持ちながら、いまひとつ一般的にならないのはなぜなのでしょうか。

なぜチタンは自動車やバイクで主流の金属にならないのか
優れた特性を持つチタンがなぜ一般的にならないのでしょうか。その理由はチタンの価格と、普及車に求められる「安価な車」という条件に関係があります。チタンは優れた金属ですが、ステンレスやSPCC(普通鋼)と比べると約10倍以上の価格差があり(表1)、他の金属より高額なことは確かです。普及車に多用すると消費者が手を出しにくい価格になってしまいます。三菱のランサー、メルセデスベンツのSクラスなどは、チタンが多用されている車種の一例ですが、これらの車種は高級車、スポーツカーです。バイクでは、最初からチタン多用ではなくアフターパーツに使われています。高価格になってしまったとしても受け入れられるのは、それが「贅沢品」だからでしょう。そのため、チタンは主流の金属にはならないのです。

各金属の価格比較

将来の金属製品はこうなる?もし、チタンが安価になったら?
チタンは高性能なので様々なところに使いたいはずです。しかし、それを妨げるのは高い値段です。飲料のボトルなら、ステンレスは3000円前後に対し、チタンは15000円前後とチタンを使うと高額になってしまいます。しかし、チタンは2006年にデュポンが開発した、低価格で高純度のチタン粉末を作る製造プロセスがあり、実用化は近年にまで迫っています。それならば、将来チタンが安くなればどうなるでしょうか。それは、ステンレスや鉄は淘汰される時代が来るのではないかと考えています。調理器具に使用するとしても、軽量、腐食に強いチタンの方が適しているはずです。そのような中で、ステンレスが選ばれている理由は、価格と錆びないということだけです。もし、チタンがステンレスと同じ値段にまで安価になれば、ステンレスを選ぶ理由は無くなり、チタンを選ぶことでしょう。他の製品にも同じ現象が起き、将来的にチタンが非常に優位に立てる時代が来ると思われます。

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