営業に悩む方へ贈るバイブル

営業には向き不向きがある?
「自分は営業に向いているのだろうか…」、「営業をやり始めて何ヶ月かたったが、成約が獲れない」

諦めるのは早いあなたはそんな風に悩んだことはないでしょうか。「自分は口下手だし、人見知りだし…。営業には不向きじゃないか」、上手くいかない時ほどそう考えるようになりがちです。かくいう私も自分は営業に向いてない人間だろうと思っています。しかし、営業に特殊な能力は必要ありません。営業を順序立てて、その時々で適切な行動を取れば向き不向きは関係なくなるのです。そう思わせてくれたのが、今回ご紹介する秋本憲治の「口下手・人見知りでも売れる売り込まない営業 (現代書林)」です。

この本は面談の準備、アプローチ、ヒアリング、プレゼンテーション、クロージングという5つの章に分かれており、場面毎にすべきことが順に書かれているので、自分がどの場面で躓いているのかがわかれば、どこを読めばいいのかもすぐにわかる使い易い構成となっています。成績UPあなたもこの本を読めば、きっと今まで成約が獲れずに頭を抱え、上司の怒声に戦々恐々としていた過去に別れを告げ、成績1位のトップ営業マンになれるでしょう。

自慢だけのビジネス本は使えませんが…
この本の著者は大手化粧品会社にて事業部長兼ファシリテーターとして人材育成に従事し、人事教育統括部長・グループ会社取締役営業本部長を経験。2002年より㈱富士ゼロックス総合教育研究所で専任トレーナーとして大手・中堅・ベンチャー企業を対象に、営業力強化支援・人材育成ソリューションを提供している方です。このような人が書く著書というのは自身の経歴などの自慢話になりがちですが、本書は講師経験の活かされた、わかり易い内容になっています。

成約の獲れる営業マンに育ち、育てる本
この本を読んでみて意外と気づき難い、恐ろしい事実を知りました。それは「売り込めば売り込むほど相手は逃げていく」という事実です。思い返してみれば私も「最低でも製品紹介だけは聞いてもらわなきゃ」と、一生懸命になっていました。しかし、そういった態度に相手から「また営業か…」というような顔をされてしまうことが多いものでした。これに著者はこんな例えをしています。

「服を買いに行ったとき、少し見ているだけなのに話しかけてこられても困るでしょう」

確かに一生懸命売り込めば売り込むほど、押し売りに近い雰囲気になってしまいます。こうなっては成約が獲れないのも仕方ありません。この導入から本文で紹介されているのが相手に嫌がられない営業、「ソリューション営業(課題解決型提案営業)」です。

聞きなれない言葉だという方もいらっしゃるかと思います。しかし、世界的には広く支持されるアメリカの教育トレーニング企業が考案した営業手法です。ソリューション営業とは、お客様の視点以外にもお客様の外部環境までを踏まえた上でのテーマを抽出し、問題解決を提案していくもの。まず第一歩は相手のニーズをじっくりと聞き出し、状況を把握する。聞き取りを重ねる内、その中で現状の問題点をお客様から相談されて、初めて適切な解決策を提案する。これが「売り込まない営業」、ソリューション営業です。

この営業方法は営業の標準化も目指していることが新しい点だと思います。多くの方は、特にこれまでバリバリに営業をされてきた方ほど「先輩から盗むか、自分で編み出す」、「成果が上がらないのは努力と忍耐が足りないからだ」という具合に非常に属人的な技術として営業を認識されているのではないでしょうか。しかし、ソリューション営業では「この段階ではこれを話し、このようにして終える」というように、営業の手法が筋道立てられており、説明も理解しやすく、営業マンの教育にも役に立ちます。私も大変参考になりました。

読後の営業に変化が…
今回ご紹介した本を読んで、少しでも面白いと感じた方には1/4インチのドリルセオドア・レビットの著書もお勧めしたいです。「ドリルを買いに来た人が欲しいのはドリルではなく穴である」という話はあまりにも有名。ソリューションを理解する上でのカギとなるはず。

営業に行き詰った時にマーケティング的手法を取り入れることで打開を図る方は少なくないですが、同じくそれでも上手くいかないという方も少なくありません。よくある話です。

私もこの本に書かれていることを実践してみていますが、やはりすぐには思うようにはいきませんでした。しかし、しばらく続けてみると次第に上手くいくようになり、つい最近には成約を獲ることに成功したのです。営業をやり始めて成約らしい成約が獲れたことがなかった私には驚きでした。みなさまも是非お試しを。