採用の新たな選択肢、地方での採用

実感が今ひとつ湧きませんが、経済データでも、景気は回復基調であるらしく、大学新卒人材の目が大手企業への就職に向いています。特にオリンピック特需が散見される首都圏では、中小企業が大学新卒人材を採用するのが困難になってきました。そのような中小企業の打開策の一つとして、地方大学の卒業予定者はいかがでしょうか。

 多くの地方都市では人口が減少しつつあります。一旦、人口が減少し始めると、人口の減少ペースを追い抜くように、地域経済が縮小していきます。顧客の数が減ることは企業にとって、競合状態の激化や、まばらに分布する顧客への非効率な対応を意味します。さらに、若手人材の人件費(特にアルバイト社員を中心として)ジワリと上昇し始めます。こうして利益率の悪化を嫌った企業が次々とその地域から去っていくのです。

 就職先が極端に減っても、地方都市の大学生達には、大都市圏に就職するツテがなく、正社員に成る道を諦めることが多いようです。そのような学生に首都圏の企業が採用の手を差し伸べると、他の選択肢が限られている学生を手堅く採用できます。

 受けた内定を学生はいくらでも辞退できるため、首都圏の売り手市場では、中小企業の採用活動は「内定辞退」の山に終わりがちです。大学内での個別企業説明会の開催など、多少コストは余計にかかりますが、地方都市の大学新卒採用には、首都圏では実現できない手堅さと効率性があるのです。