海外人材の運用上の課題

man_vs_ai_syougi人手不足の顕在化が各所で進む中、その代わりとなる労働力確保の手段が必要となっています。今やIoTやAIがその労働力を補う手段にもなりつつあるものの、もう一つ安価な労働力として外国人労働者を利用するという選択肢が、かなり以前から使われてきました。
しかしながら、この手段にも避けがたい相応の課題があることは自社が抱える他の課題にも目を向けつつ、選択の前によく考えておかねばならないでしょう。

green_card_eijuken外国人労働者は、一般的に大きく分けて2パターンあります。まず「就労ビザ」を取得して日本で働くパターン。もう一つが外国人技能実習制度によって「研修生」の形でやってくるパターンです。それぞれ違いはありますが、大きく違うのは「働く期間」です。前者は更新をすれば、ある程度の年数働くことが出来ます。しかし後者は、採用から最大でも3年で帰国することになっています。この制度はそれまでの外国人労働者と違って、就労不可だった業種にも就くことができます。しかし、あくまで彼らは「日本に技術を学びに来ている」人間ということに留意する必要があります。制度の本来の役割を無視して短期的に人手不足の穴を埋める手軽な手段として利用すると、後々制度の利用に伴う様々な縛りにかなり面倒な思いをすることになるでしょう。さらに制度上、企業規模によって受け入れ可能な人数に制限があります。job_zeimusyo_chousaどのようなパターンで外国人労働者を雇うとしても、よく調べたうえで雇う必要があるのです。もし制度の認識不足があった場合、一時凌ぎにしかならない可能性もあります。

english_kaiwa_bad_man人間性の部分での課題も非常に大きいと言えます。行動などはその人のこれまで属した文化が色濃く反映されます。もちろん個人差があるのは言うまでもないですが、それでも外国人労働者のそれは我々とは大きく異なることは忘れてはなりません。
要するに、こちら側が考える「常識」は彼らにとって常識ではないのです。ゆえに我々にとって彼らの人間性が読めない、理解しきれないという状況が往々にして生じます。こうした背景からも外国人労働者となにかしらトラブルが起こった時、その収拾がスムーズに進まないことが予想されます。就業に関する価値観の違いも、制御を難しくさせる一因です。こういうとサボる外国人をどう働かせるかの課題をイメージしがちですが、逆も大いにあるのです。カンボジア人やベトナム人など発展途上国を母国とする人々は、以前から言われていたことですが、日本人より勤勉だったりします。しかしその一方で管理サイドが注意していないと体調管理や業務上の安全衛生を無視して働いてしまいます。結果、注意していないと重大な労災事故や品質事故の発生につながるのです。

akusyu_muslim_christianこのように海外人材の運用は一筋縄ではいきません。しかし外国人労働者が減っている、もしくは多かったのは過去のこと、というニュースは聞きません。特に工業の大手企業などは運用し続けています。これはリスクを負ってでも雇った方がメリットがある、ということと思われます。一番大きいメリットは若い労働力を確保できる、ことです。これから日本の労働人口は減り続けます。労働力を確保するためには外国人労働者の受け入れは必須課題となるでしょう。将来的にお互いにメリットはありますが、それなりの注意が必要なことは知っておく必要があるのです。