「新卒社員の効果的な運用」vol.1

このメールマガジンがみなさまの下へ届くころ、新卒採用を行なっている企業ではもう来年度の新入社員となる学生へ内定を出した時期ではないでしょうか。

人財の有効活用はどの企業にとっても重要なテーマの一つ。企業は採用に投じたコストを一刻も早く回収するべく、新入社員を既存社員レベルに戦力化することに心血を注ぎます。採用された新入社員たちはまずOFF-JTと呼ばれる座学ベースの研修などで一斉に基礎知識を教育され、その後OJTの名の下、各部署での実作業に投入されます。これが一番多く見られる新入社員教育の形態であり、初期段階の新入社員の運用方法です。

一方、ハラサワではこの方法とはやや異なる教育と運用を行ないます。通常の戦力化(教育)と並行して、既存社員にさせるには一考を要するような挑戦的課題を与えているのです。本稿ではこの実際にハラサワで行なった挑戦的課題による人財育成、新入社員の効果的な運用の一例をご紹介します。

10月9日、ハラサワでは営業強化を進める一環としてWebサイトをリニューアルいたしました。今年の4月から着工されたリニューアルは、そのターゲットや運用方法の大幅な見直しからスタートされ、サイト構成やデザイン面の変更にとどまらず細部にいたるまで内容を刷新。機能面でも新しいHPでは誰でも簡単に情報更新ができるよう、CMSでサイトの構築を行なっています。これまでのサイトがどのようなものだったかをご存知の方が見れば、その変化を驚きの目で見ていただけるはずです。ハラサワにとってサイトリニューアルプロジェクトは非常に大きな取り組みでした。

このプロジェクトの担当を任されたのが入社2年目の大卒新入社員。何をしたらいいのか右も左も分からないというのがスタート時点の状態でした。こうして始められたプロジェクトの具体的な内容は以下の通りです。

1 ターゲットとなる閲覧者層と、サイト運営の目的を設定
2 現行サイトの構成の確認と、1に対する問題点の洗い出し
3 リニューアル後の完成イメージ作成
4 サイトを構成するコンテンツの一覧表を作成
5 デザインの大枠(ワイヤーフレーム)の作成
6 4の各コンテンツの詳細を企画
7 原稿、画像の作成
8 HTML・CMS、使用ソフトの学習
9 実作業(サイトに情報を入力)
10 公開

新卒社員の運用方法1ここに書き出した10項目はプロジェクト開始時、担当となった新入社員に知らされたもの。まず必要な作業とその及第点、大まかなスケジュールを指示。必要な知識の教育、進捗やクオリティの確認も都度しますが実務は完全に担当者任せ。大きな責任を伴う仕事を手探りで進めさせたのです。

新卒社員の運用方法2「迷った時は分岐上のすべての選択肢を書き出し、そのすべてに対してメリット・デメリットを考え、何が最善かを判断しなさい」という助言に与えて作業を進めさせ、作業後は最終的になぜそのような判断になったのかその理由と目的を説明させました。判断しかねる場合はその項目に対して理由と自身の考えをまとめた上で相談させ、判断をサポートします。

新卒社員の運用方法3いつもの仕事のように規則通りにこなすのとは違い、常に試行錯誤しながら作業に取り組む。常に仕事の中に自分の判断をさせる機会を与えることこそ、仕事に対する意欲と可能性を最大限引き出すのです。吸収力に富み、社内でのしがらみのない彼らこそ実はプロジェクト達成の一番期待値の高い最適の人材。大きな取り組みを新入社員に任せることは、ひいては自律的な社員を作り最大の成果をもたらすことに繋がるのです。

与えた仕事は誰でもできるもの。しかし、それでは人材を効果的に運用しているとは言えません。新入社員に早期から常に考えながら仕事を行なうことを植え付けることができれば、企業として今後の発展に大きな期待が持てることでしょう。