移り変わる安い国

インドへ投資する様々な企業
近年、特に製造業では、海外に拠点を移すことが多くなっています。日本は人件費も物価も高いため、製品のコストに影響します。一方、中国などは人件費が非常に安かったため、中国に製造拠点を置く大手企業も多数存在しています。しかし、中国の好景気によって人件費が高騰し始め、利益率が思ったように伸びないという現象が起き始めています。そこで最近では、インドに進出するのがトレンドになっています。

インドは人件費が安く、その結果安くモノを作ることが出来るため、近年大手企業の進出が著しくなっています。鋼管関係で例えれば、大手SN社は連結子会社が出資する現地企業が2012年に鋼管の加工が可能になり、2013年には造管からの一貫生産体制が可能になりました。
また、大手SK社は韓国鉄鋼メーカー大手のH社とインドで自動車用鋼管の販売・製造を手掛ける合弁会社を設立しています。

世界地図矢印元々インドは人件費が安いのですがそれ以外にも進出する理由があります。インドは最近経済発展が著しく、自動車の需要が高まっているからです。インドは人口が非常に多いため中国並みの魅力的な市場となっています。

そうは問屋が卸さないインド
しかし、インドの進出にはよくない点もあるようです。すぐに飛びつくと意外とまずいかもしれません。現在ルピーが高くなっているのです。経済発展があれば人件費も高くなりますし為替市場に影響があるのは当然です。となれば今は大丈夫でも将来は本当に安いまま推移するのかどうかは疑問です。やはり将来的にも高くなってしまうでしょう。中国での人件費が上がってきているのと同様にインドも上がることは確実です。中国の経済は以前ほどの勢いはなく、かつてはBRICsと呼ばれた国々も同じようになり、別の国が勢いを増すでしょう。

常に次を開拓することで有利に!
私の知り合いの経営コンサルタントは、海外からの人材が欲しいと相談を受けたそうですが、そのときはなんとバングラデシュからという希望だったそうです。また、別の企業の担当者はカンボジアに進出を決定したと言っていました。このようにインドは今は安くても段々様々な価格が上がり、企業はさらに別の安い国を求め移り変わっていくのでしょう。つまり逆に言うと、常に次の盛り上がる国や場所を探し続けることが重要だということです。人件費の安い国が流行り始めたときはいいのですが、流行しきってしまうとどうしても後塵を拝すことになり、今一つ有利に立てないでしょう。しかし、まだ誰も手を付けていない場所で開拓者となれば、一気に有利に立てるでしょう。皆さんも次への視点を持って常に有利な商売をしましょう。

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