回帰的マネジメント-『気遣い・心配り』

みなさまは若手・新人たちとともに仕事・指導をする中で、「今ひとつ嚙み合わない」とか「やって欲しいこととしてくれることがズレてる」といった思いをしたことはないでしょうか。若手・新人たちを指導していくのにあたり、実はみなさまがかつて下積み時代に上司や先輩たちにさせられていたことが現代の指導上の課題にも有効なのではないかと説くこのシリーズですが、今回は『気遣い・心配り』がビジネススキルの発達の一助になり、それを指導に導入して予測スキルの訓練としてはどうかというご提案です。

新人・若手に指導をする際、仕事をさせてみた際に起きる、こちらの意図や目標が上手く伝わらず失敗に至る事態。仕事の中でのこうした事態は経験不足による彼らの理解力・予測力の不足にあるのではないかと考えます。そこで「相手が次にどう動くのか」「相手が何を求めているのか」「自分のしたことが、結果的にどうなるか」を考えることを『気遣い・心配り』を通して訓練させるのです。上司の椅子を引く、上司の行く先のドアを開ける、などです。そうした小さな行動の積み重ねがやがて予測スキルの向上につながるのです。

かつてハラサワでも新卒採用の会社説明会当日、チェックリストを使って荷物の搬入を確認していたのにパンフレットを忘れるアクシデントが起こりました。その時、確認をしていた新人は「間違いなく確認しました。パンフレットはデスクの上にありました」と話しました。恐ろしい事故です。もし彼が何のためのチェックリストと確認なのか理解していればこのようなことにはならなかったでしょう。そしてこのような事故に至ったのは常日頃から新人・若手に自分の仕事の先の展開を理解・予測するよう習慣付けていなかったからだと言えます。

しかしながら横並びの関係性が基本的な価値観である彼らに『気遣い・心配り』を求めるのは、力加減を誤るとパワハラ扱いを受けるリスクがあります。指導の意義に対する合意形成と指導する新人、若手との信頼関係の構築には十分ご注意ください。社員教育は受ける側が素直に指導を受け入れることが非常に重要ですが、指導する側もまた受け入れさせるための表現の工夫が必要なのです。せめて彼らがしてくれた初歩的な『気遣い・心配り』でも盛大に喜んで見せるほどのことをすれば効果的かもしれません。